親って子供に見返りを求めて、育ててるわけじゃない。


―子育てにはどんな苦労がありましたか?

「多々ありますよ。
 たとえば、小学生の時だったら、
 子供がどこどこに遊びに行きたいっていうので。
 だれだれさん家は許してるとか、
 そういう基準を決めるので悩んだり。」

「そうだよね。
 ゲームひとつにしても、
 みんなが持ってるから買ってあげなきゃ
 とか思ったり。ゲームを禁止してる家庭は、
 親の中では立派な教育方針だなってなるけど、
 子供たちの間では持っていないと
 友達の輪に入れなかったりするし。」

「確かに、
 信念の通りに子育てをしている人は珍しい。
 流されている人のほうが多いよね。
 ”みんな”が持ってるから買ってあげちゃえみたいに。

「けど、今は”みんな”って言葉を
 大事にしないと、
 仲間外れになったりしてしまうから、
 本当に難しい。」

「ただ、それでも中学生になったら、
 たとえばケータイとかは
 みんなが持ってるからこそ
 しっかり管理しないとね。
 いじめの加害者になったら、とんでもないし、
 いじめられてしまってもかわいそうだから。」

―身近に子供たちと接していて、
 いじめを実感することはありますか?

「ないことはない。
 ゼロではないかな。
 いじめられてる子って、
 ほかの子と少し違ったりするのよね。
 それで誰かがからかい始めると
 エスカレートしていく。
 周りの子も、やらないと自分もいじめられてしまう
 みたいな風に思うところもあるのかな。」

―目撃したらどうするんですか?

「1回2回の注意じゃ聞かない。
 だから気付く度に永遠に言い続ける。
 それでも、子供は少しずつ成長すると、
 優しくなったり、物事がわかってくる。
 結局はそれまで待つしかないのかもしれないね。」

―親目線で、子供に伝わらないと感じることはありますか

「ありますよ。
 それに、独りの子に伝わった言い方をして、
 次の子にも同じように言っても
 上手くいかないし。」

「ただ、親って子供に見返りを求めて
 育ててるわけじゃない。
 だから一生懸命やってるのに
 辛く当たられれても何も思わない。」

「私は思うわよ!」

―大学生とか、大人になっても自分の子供は
 やっぱり”子供”だと感じますか?

「そうね。
 結婚してからも心配はするだろうし。
 実際、私自身も結婚してからも
 親の脛をかじり続けてたからね。
 それに今の子は親に子育てを手伝ってもらうのが
 当たり前になってきているしね。」

「けど、親のありがたみが本当に分かるのは、
 親を亡くしてからなのよね。
 あの時、苦労かけたなとか。
 もっともっと話しておけばよかったなって。」

「生きてる間は、子育てが終わったら
 親と旅行しようみたいに考えたりはする。
 だけど、なかなか実行はできないの。
 さんざん、親孝行するなら今のうちって言われても」

「結局できなくってね。
 それで亡くなっちゃうと、
 あぁーって。」

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