そんなのおかしいよなって。



「大学二年のときに
 カンボジアの孤児院でインターンをしたんだけど、
 30人くらいいた子供たちの中に
 すごい私になついてくれた10歳くらいの男の子がいて。
 ある時、別のインターンがその男の子を見て、
 『あの子はここに生まれてなかったら、
 エンジニアになってただろうね』って、
 ぽつりと言うのを聞いて。

 当たり前というか、
 当たり前じゃないんだけど、
 その子の才能を
 今まで見てたけど気付かなかったことに
 気付かされたんだよね、そのときに。

 で、もしその子が日本に生まれてたらきっと
 この職業に就くとか、
 違う国に行くとか、
 そういう自由が許されるのが日本。
 けど、彼はあそこで生まれて。
 あそこに生まれたことによって、
 彼自身のパーソナリティなり、
 彼が得意なこととか全部関係なく、
 その置かれた環境だけで、
 将来が決まるんだろうなと思って。
 
 わたしはそれを変えたいと思うし、
 変えたいという以前に、
 そうあっちゃいけないよな、
 そんなのおかしいよなって。
 じゃあ、私がそれを変えられる仕事をしたい。
 今すぐ何かが出来るわけじゃないけど、
 じゃあできないからやめよって言うよりも、
 十年後、二十年後に、
 わたしが頑張った結果、
 同じサイクルを繰り返さないことになるんだとしたら、
 そうしたい。
 そうするために頑張ってる。」



(10/7/2013 早稲田)


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