ここは道の出発点なんだから。



「17年前にね、
 ここの市役所から町づくりの委託を受けて。」

—町づくり?
「日本のほとんどのいわゆる都市基盤ってのは
 すごく危ないんですよ。
 例えば電柱ってのはさしてあるだけ。
 だからみんな電柱って壊れちゃう。
 例えば、宮城のあの地震のときとかって、
 電信柱みんな倒れてるんだよ。
 で、道路とかは単に表面だけ舗装してあるわけ。
 まだ橋の方が崩れないとは言われてるけど、
 それだって支えてる地面の中ってのは、
 よく調べると要するに豆腐っていうか、
 ぐちゃぐちゃなんだよ。
 
 だからさ、今の町づくりってのは、
 道とか川とかのやり方が基本的に間違ってる。
 我々の命って何で保ってるかっていうと、
 太陽と水があって、
 それで木があるんだ。植物が。
 彼らは我々が出す二酸化炭素を酸素に変えてくれて、
 炭素も水と合わせて加工して、
 木の実を作ってくれる。
 珊瑚もそうだよね?
 コンクリート、コンクリートって嫌がるけど、
 コンクリートも珊瑚の死骸だからね。
 植物が我々の源を作ってる。
 命を使って我々は生きてんだよな、
 植物の命を使って。
 だから森と都会とか全部つながってると思うんだけど。

—では最終的に目標にしているものは何ですか?
「みんなでお金を出し合って、
 この地下に街を支えられるような構造物を作る。
 日本の歴史を勉強するとわかると思うんだけど、
 日本自身が自浄作用で、
 自分を浄化するってあんまないんだよね。
 日本人の人たちは自分たちで街を作ったり、
 自分たちで何かするってことが
 海外に比べるとレベル低いんだよ。
 天皇陛下がやってくれると思ってたり、
 国がやってくれると思ってたり、
 だからまずは、
 日本人にそういう可能性があるんだよってことを
 知っといてもらいたいと。」

—では、どうして日本橋にこだわるんですか? 
「日本橋は、道の出発点なんだよね。
 まあ江戸時代から町の作り方の出発点、
 だから、ここでできないってことは、
 日本だめだと思ってるわけ。
 ここは道の出発点なんだから。」



(2013/12/2 日本橋)

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